外壁塗装の3回塗り「中塗り」の役割とは
中塗り塗装は外壁塗装の仕上がりを決める重要な工程
外壁塗装というのは3回塗りが基本で、1回目を下塗り、2回目を中塗り、3回目上塗りと言います。
これは、ただ3回重ねて塗っているのではありません。それぞれにきちんと違った役割があるのです。
「下塗り」「中塗り」「上塗り」の役割をひとつずつ、3回に分けて説明しています。
今回は2回目、「中塗り」ついて、詳しく紹介していきたいと思います!
目次
1-1 外壁塗装の主な流れ
2. 外壁塗装の中塗りの役割
2-1 下地を強化して塗装面を整える
2-2 塗装の色むらをなくす
3-1 中塗りの塗装時間
3-2 中塗りの乾燥時間
5. 外壁塗装の中塗りと上塗りの塗料を変えた場合のデメリット
5-2 外壁の劣化が目立つ
5-3 塗料代が増える
6-1 工事の工程表を確かめる
6-2 工事の進捗を報告してもらう
7. まとめ
外壁塗装におけるの中塗りとは
外壁や屋根塗装における中塗りとは、塗装工程の1つです。外壁の状態にもよりますがリフォーム時の塗装は通常3回行われ、それぞれ「下塗り・中塗り・上塗り」と呼ばれます。
「中塗り・上塗り」=「上塗り2回」
下塗りがプライマーやフィラーと呼ばれる特殊な塗料を使う一方で、中塗りには上塗りと同じ塗料を使うのが一般的です。そのため、外壁塗装の工程を説明するときに、「下塗り・中塗り・上塗り」 ではなく「下塗り・上塗り2回」と表現することもあります。ですので、これらは表現方法が違うだけで、塗装内容は同じものです。
整えた下地に下塗りをほどこして十分に乾燥したら、次の工程が中塗りとなります。
外壁塗装の主な流れ
足場組立
飛散防止シート張り
高圧洗浄下地処理(補修、シーリング工事など)
養生
外壁下塗り
外壁中塗り←今回はこちらの工程!
外壁上塗り
付帯部塗装
屋根下塗り
屋根縁切り(タスペーサー工法)
屋根中塗り
屋根上塗り
足場解体、清掃【参考記事】
>>外壁塗装の流れ外壁塗装の中塗りの役割
中塗りは外壁を美しく仕上げ、塗料の性能発揮させて家をしっかりと守る役割があります。
詳しく見ていきましょう。
下地を強化して塗装面を整える
下塗りの上に中塗りを重ねることで、塗装面をなめらかに整えます。このように凹凸等がないなめらかな下地を作っておくことで、上塗りをきれい塗ることができ、美しい仕上がりになるのです。
下塗りと中塗りだけでは、荒れた下地やヒビや傷の補修跡がまだ目立ってしまうので、外壁塗装を終えることはできません。中塗りで整え、上塗りで仕上げることで、外壁や屋根を美しくリフォームすることができます。
塗装の色むらをなくす
どんなに熟練した職人でも1回の塗装だけで美しく塗り上げるのは、まず無理です。下塗りに中塗りを重ねただけでは気泡や色むらが残り、下塗りや元の外壁の色が透けてしまいます。
塗料を3回塗って重ねることによって、塗りむらのない美しい仕上がりになります。
下塗りの役割については、以下の記事でより詳しくまとめています。
【参考記事】
>>外壁塗装の3回塗り「下塗り」の役割とは上塗りを補強して塗料の性能を発揮させる
中塗りは塗料の性能を発揮させるのに欠かせません。
外壁を自然環境から守るのが塗装の役割です。塗装を行うことで作られる膜(塗膜)が雨を弾いたり紫外線をはね返したりしています。そのためには十分な厚みの塗膜が必要なのですが、1度の上塗りだけでは薄い塗膜しか形成されません。ほとんどの塗料製品が「中塗り・上塗り」と2回に分けて塗装することで性能を発揮できる設計となっているのです。
中塗りをすることで、塗料メーカーが想定した期間、外壁や屋根を守ることができます。下塗りの上に一度塗料を重ねただけでは、下地を守るのに不十分なのです。 中塗りをはぶくと、早々に塗膜が剥がれるなどの不具合が生じることも・・・。
また、不具合は塗装後すぐに発生するとは限らず、塗装後2~3年たって発生する場合もあります。
上塗りの役割については、次回の記事にまとめました。
【参考記事】
>>外壁塗装の3回塗り「上塗り」の役割とは外壁塗装の中塗りにかかる時間
中塗りにかかる時間の目安は半日〜1日です。
塗装面の大きさや職人の数にもよりますが塗装にかかるのは1〜2時間、季節や気象条件、立地にもよりますが乾燥にかかるのは3〜6時間となります。条件が悪くても丸1日あれば中塗りは完成すると考えてよいでしょう。
中塗りの塗装時間
中塗りの工程は塗装と乾燥の2段階で考えます。
塗装自体にかかる時間は職人の数や熟練具合で変わりますが、一般的な一戸建てなら1〜2時間くらいが目安です。
中塗りの塗装にかける時間が短すぎると作業が雑になり、上塗りでカバーできないくらいの気泡や色むらができてしまいます。このようになると仕上がりに大きく影響するので、上塗りで隠れてしまうとはいえ適切な時間をかけて塗装作業を行うことが大切です。
中塗りの乾燥時間
中塗りの乾燥にかかる時間は、その時の天候や用いる塗料によっても変化しますが、春から秋なら3〜4時間、冬なら6時間が目安になります。
下塗りにも通じることですが、中塗りも十分な乾燥が必要です。不十分だと塗面にひび割れや縮み、ふくれ、でこぼこなどの不具合が表れてしまい、美しい仕上がりにならないのです。
十分な乾燥時間のために、下塗り・中塗り・上塗りでそれぞれ1日ずつ工程を組んでいると安心ですが、仕事の進み具合によってはなかなかそうもいきません。気候などの条件が整い、しっかり管理できていれば、1日で2回塗り重ねても問題はありません。
外壁塗装の中塗りで知っておきたいポイント
冒頭でも述べたとおり、「中塗り・上塗り」とは言わずに「上塗り2回」という表現をすることがあります。
中塗りと上塗りの塗料は、基本的には同じものを使用しているからです。
中塗りと上塗りに分けずに厚く塗れば安く済む?
「同じ塗料をわざわざ2回塗るなら、まとめて厚く塗れば早いし安くなるのでは?」と考える人は多くいます。しかし、塗料には1度で塗れる分量が決められており、中塗りが不要になるほどの厚塗りはできない設計になっています。無理な厚塗りを行うと液垂れや塗りむらが起きてしまいますし、塗料本来の性能が発揮できません。
美しい仕上がりと外壁をしっかり守るために中塗りは欠かせないものです。
仮に、中塗りを省いて安く仕上げたとしても、すぐに塗装が剥がれてしまえば割高になってしまいます。
適切な費用をかけてしっかりと塗装し、外壁塗装の効果が長期間保てば、結果として費用の節約につながりますよ。
中塗りと上塗りの塗料が違うこともある?
中塗りと上塗りは、基本的に同じ塗料を使用すると言ってきましたが、以下のような場合では例外的に中塗りと上塗りの塗料が違うことがあります。
大規模な工事の場合
マンションなどの大規模な工事の場合、多くの職人が塗装に携わります。
そのため、中塗りがどこまで進んだのか、上塗りがどこからなのかの区別がつかなくなることがあります。
その場合、中塗りと上塗りの作業の区別が分かるようにするために例外的に中塗りと上塗りの色を変えることがあります。
デザイン性の高い塗料の場合
ごく一部のデザイン性の高い塗料を選択した場合、中塗りと上塗りの塗料をあえて違うものにしていることがあります。
たとえば、中塗りでベースの色を塗り、上塗りの塗料を重ねて塗ることで、仕上げたい色に塗装するというものです。
しかし、こうしたデザイン性の高い塗料はあまり一般的ではないので、やはり多くの場合、外壁塗装では中塗りと上塗りは同じ塗料を使用することになります。
手抜き工事をされないための対策
中塗りと上塗りが同じ色の場合、本当に両方塗装したのか分かりにくく、中塗り塗装をしないなどの手抜き工事に気付きにくくなります。そこで、あえて色を変えることで、しっかりと塗装されているかを確認することができます。
浜松市の丸杉塗装でも、特殊な塗料でない場合は、基本的に中塗りと上塗りは同じ塗料を使用させていただいております。
ただ、ご希望がありましたら中塗りと上塗りの区別が分かるように色分け施工も承っておりますので、お気軽にお申し付けください。
外壁塗装の中塗りと上塗りの塗料を変えた場合のデメリット
「手抜き塗装を避けるため、中塗りと上塗りの塗料の色を変えるようお願いしましょう」
これはよく聞くアドバイスで一理ありますが、それでも中塗りと上塗りは同じ色にすることをおすすめします。
というのも、中塗りと上塗りを異なる色で塗装した場合、様々なデメリットが生じるからです。
確かに中塗りと上塗りの塗料を変えることで、施主さんは上塗りが終わったか確認しやすくなり、手抜き工事を防ぐことはできるでしょう。しかし、それにより肝心の塗装の性能が下がってしまえば本末転倒になってしまいますよね。
後ほど述べますが、色を変える以外にも手抜きされないようにする対策はあります。
塗料の色を変えるよりも、信頼できる塗装業者を見つけることが大事です。
塗料の性能が十分発揮できないリスクがある
一般的に塗料製品は中塗りと上塗りに同じ色の塗料を塗装することで、性能が発揮できる設計となっています。
そのため、異なる色の塗料で塗装した場合、塗料の性能を十分に発揮できない可能性があります。
外壁の劣化が目立つ
劣化が進行し、上塗り塗装が薄くなったり剥がれたりすると中塗りの色が見えてしまうことがあります。
中塗りの色が上塗りの色と違っている、劣化箇所が目立ち、建物の美観が大きく損なわれてしまいます。
塗料代が増える
中塗りと上塗りを同じ色で塗装した場合と比べて、中塗りと上塗りを異なる色で塗装した場合には、塗料代が増える可能性があります。
例えば、外壁塗装に塗料缶が1.5缶必要な場合、中塗りと上塗りが同じ色の塗料であれば3缶で済みますね。しかし、異なる色の塗料だと中塗りに2缶、上塗りに2缶必要になり、計4缶用意しなければいけません。1缶分の塗料代が増えてしまうのです。
(一般的に塗料の購入は缶単位で、0.5缶分といった半端な量の購入はできません。)
業者が中塗りをしているか確かめるためには
信頼できる塗装業者であれば、中塗りを省くなんてことは絶対にしません。
とはいえ、中塗りと上塗りは同じ塗料を使用するので、見た目にはきちんと中塗りが行われているのか分かりづらく、心配される方もいるでしょう。
業者が確実に中塗りの作業を行っているかどうかを確かめるには、以下の方法がおすすめです。
工事の工程表を確かめる
工事の開始前には、業者から工事の工程表が提出されます。これには、「いつ、どの工程の工事をするのか」が明記されています。
工事の工程表に「中塗り」の作業があるかどうかを確かめましょう。
「中塗り」の記載がなくても、「上塗り2回」の記載があれば、中塗りを行っていることになります。
もし工程表に「中塗り」や「上塗り2回」の記載がなければ、工事が開始される前に業者に確かめるるようにしましょう。
工事の進捗を報告してもらう
外壁塗装の工事がどのくらい進捗しているのかを、塗装業者に確認しましょう。工事中在宅してるのであれば、直接自身の目で確認するとよいでしょう。もし、仮に塗装業者が中塗りを省こうとしていても、進捗を気にしているお施主の前では手抜きしにくく、抑止力にもなります。
外壁塗装の業者の中には、作業日の進捗を毎回報告してくれるところもあります。
その際に、下塗り作業と上塗り作業の間に中塗り作業が行われているか、もしくは「上塗り1回目・2回目」など、上塗りが2回行われているか確かめましょう。
外壁塗装を依頼する際には、工事の進捗について細かく報告してくれる業者がおすすめです。
浜松市の丸杉塗装では、工事中もお客様にご安心頂けるよう、毎回作業内容をホワイトボードに記載し、提示させていただいております。
まとめ
中塗り塗装は外壁塗装の仕上がりを決める重要な工程です。
見た目と性能の両面で外壁塗装の質全体を上げるのに、中塗りは欠くことができません。中塗りを行わないと下地の補修跡や気泡、色むらや目立ってしまいます。
また十分な厚さの塗膜を作ることができず、サイディングや下地を守ることも難しいでしょう。
中塗りを行うことによって美しく仕上げることができ、塗料の性能が最大限に発揮され、塗装がすぐに剥がれてくるというようなことを防ぐことができます。
確かに費用はかかりますが、それ以上に大切なのが中塗りの工程なのです。