外壁塗装をDIYで行う方法と注意点
外壁塗装をDIYで済ませるメリット・デメリット

近年、年代や性別を問わずご家庭のリフォーム等で、DIYを楽しむ方が増えています。
家具づくりや室内の塗装などから始まり、なんでも自分でやりたくなる方も少なくありません。
費用面からも、自分で行えば、業者に頼むより断然安く抑えられるので、自分でやってしまおうと考える方も多いのではないでしょうか。
ここでは、外壁塗装をDIYで行う際の手順や必要な道具、かかる期間や外壁塗装をDIYで済ませるメリット・デメリットについて解説していきますので、よく検討したうえで自分で行うか決めましょう。
目次
1. 施工期間の目安
2-1 安全対策
2-2 洗浄
2-3 下地処理
2-4 塗装
3-1 1.洗浄
3-2 2.養生
3-3 3.下地処理
3-4 4.下塗り
3-5 5.上塗り2回(中塗り・上塗り)
4. 外壁塗装で使う塗料
5. 外壁塗装をする際の塗り方
5-1 吹付け工法
5-2 ローラー工法
6-1 費用が安く抑えられる
6-2 好きなタイミングで工事ができる
6-3 好みのカラーやデザインにできる
6-4 業者とのやり取りをしなくてよい
7-1 時間がかかる
7-2 危険が伴う
7-3 下地処理が徹底されない場合がある
8-1 色ムラが出る
9-1 洗浄は念入りに行う
9-2 養生はしっかりとする
9-3 高所での作業は安全第一で行う
10-1 長柄ローラーを使って塗装する
10-2 はしごを使って塗装する
10-3 脚立を使って塗装する
10-4 無足場工法で塗装する(非推奨)
11. 間違ったDIYによる補修例
11-2 シーリング材の表面が凸凹やシワシワになり、すぐに剥がれてしまった
11-3 ひび割れ部分をシリコン系シーリングで埋めてしまった
11-4 塗装を何度繰り返しても、すぐに割れてきたり剥がれてきた
11-5 塗膜が膨れてきてしまった
13. 外壁塗装の一部依頼するという方法
13-1 部分補修
13-2 足場だけ設置してもらう
13-3 「できるところはDIY、残りの部分は業者に依頼」はNG
14. まとめ
施工期間の目安
施工期間はお住まいの規模にもよりますが、よくある一般的なサイズの住宅の場合、プロの塗装業者が2名~3名ほどで施工して、2~3週間くらいです。
これを1人で行い、しかも土日など仕事が休みの日にしか作業できないとなると、3ヵ月くらいは覚悟しなくてはなりません。
もし、夏休みなど長期休みが取れる場合、ほぼ毎日連続して行ったとして、1ヵ月ほどは必要です。
外壁塗装をDIYでする際に必要なもの

外壁塗装をDIYしたいときに必要な道具は、以下のようなものになります。
専門的な道具はお持ちでない方も多いでしょう。
そういった方はホームセンターやネット通販で揃える必要があるので、「どんな商品が良いのか」といったような事前調査も必要です。
安全対策
・足場
・飛散防止ネット
外壁塗装工事を行う際には、安全かつ効率よく作業を進めるために足場の設置が欠かせません。
また、塗装作業中に塗料が風で周囲に飛び散るのを防ぐために、飛散防止ネットも併せて設置しましょう。
これは建物周囲への配慮としても重要で、近隣の車両や住宅を保護する役割も果たします。
もし周囲に車やバイクがある場合は、専用のカバーやブルーシートなどで覆っておくとより安心です。
ただし、塗料が付着して汚れる可能性があるため、汚れても差し支えのないものを使用してください。
洗浄

・高圧洗浄機
・バケツ
・ブラシ
・中性洗剤
高圧洗浄機で全体を洗い流しつつ、目地の隙間や凹凸部分など、洗浄機が届きにくい箇所はブラシで手作業するとより効果的です。
バケツは洗剤を希釈したり、ブラシをすすぐのに使用します。
また、外壁にはさまざまな素材が使われているため、素材を傷めにくい中性洗剤を使うことが大切です。
酸性やアルカリ性の洗剤は外壁材を変色させる恐れがあるため、避けましょう。
下地処理
・コーキング剤
・コーキングガン
・サンドペーパー
・皮すき
・マスキングテープ
外壁にひび割れや隙間がある場合は、コーキング剤でしっかりと補修しましょう。
古い塗膜や劣化部分をそのままにすると新しい塗料が密着せず、早期剥がれの原因になりますので、サンドペーパーや皮すきを使って表面を丁寧に整えましょう。
力のいる作業が多いため、特に高所での作業時は転落や事故に十分注意してください。
塗装
・ローラー
・ハケ
・塗料(下塗り用、上塗り用の2種類)
ローラーは広い面を効率よく塗るのに適しています。塗料の含みもよく、均一な仕上がりになります。
細かい部分や角、ローラーが届かないところはハケを使用します。
塗料は、最低でも下塗り用・上塗り用の2種類を準備しましょう。
下塗り用は密着性を高めるため、上塗り用は仕上がりの色・耐久性を持たせるために使います。
外壁塗装をDIYで行う際の手順

1.洗浄
まず、高圧洗浄機やブラシ、ホースを使って、外壁に付着したホコリやコケ、汚れをしっかりと洗い流します。
カビやコケなどのしつこい汚れがある場合は、中性洗剤を使い、ブラシでこすって落とします。
その後、水でしっかり洗い流しましょう。
洗浄が終わったあとは、外壁がしっかりと乾燥するまで時間を置く必要があります。
十分に乾いていない状態で塗装を始めてしまうと、塗料の密着が悪くなり、仕上がりがムラになったり、早期に剥がれたりする原因になります。
2.養生
施工しない建物やカーポートなどの付属物、車や自転車などが汚れないよう、養生を行います。
うっかり塗ってしまいそうな戸袋やサッシなどは、マスキングテープなどでカバーしておきましょう。
特に、風に乗って塗料が飛散する恐れがあるため、窓や植木、車などの汚れては困る部分は確実に保護する必要があります。
3.下地処理

外壁の表面がデコボコしていたり、ヒビや欠けがある状態では見た目が悪く、塗料がしっかりと付着せず、すぐに剥がれてしまう原因になります。
特に、ひび割れなどの傷を放置すると、そこから雨水が内部に浸透し、建物の劣化を早めてしまいます。
そのため、塗装前には傷の補修を行う必要があります。
小さなヒビや欠けには、弾力性のあるコーキング材を用いて隙間を充填し、補修後はサンドペーパーなどで表面を滑らかに整えます。
また、塗料がしっかり密着するようにするように、古い塗膜や汚れを除去し、表面を滑らかする「ケレン作業」も大切な工程です。
補修が完了したらこちらも、地道に行いましょう。
4.下塗り
最初の塗装は、上塗り塗料の密着性を高めるために、ベースとなる塗料で「下塗り」を行います。
シーラーと呼ばれる透明または半透明の下塗り塗料を、外壁全体にムラなく丁寧に塗布します。
下塗りには、外壁が塗料を吸い込むのを防ぎ、発色や耐久性を安定させる効果もあります。
この工程が不十分だと、塗料が剥がれやすくなり、塗装の寿命も短くなってしまいます。
作業時には、広い面はローラーを使って効率的に、角や細かい部分はハケを使って細部まで丁寧に塗り残しのないよう仕上げていきます。
5.上塗り2回(中塗り・上塗り)
下塗りがしっかりと乾いたら、仕上げとして上塗りを2回行います。
使用するのは、ご希望の色がついた塗料で、1回目の上塗りで全体をムラなく丁寧に塗装し、十分に乾燥させた後、もう一度同じ塗料で重ね塗りをします。
上塗りを2回行う理由は、塗膜を厚くし、外壁の耐久性を高めるためです。
1回だけの塗装では塗料が薄く、劣化も早まってしまいますが、2回重ねることで塗りムラや塗り残しを防ぎ、見た目の美しさと耐久性の両方を確保できます。
美しい仕上がりを長持ちさせるためにも、上塗りは必ず2回以上行うことが大切です。
外壁塗装で使う塗料

外壁塗装や屋根塗装に使われる塗料には、様々な種類があります。
「下塗り用の塗料」と「上塗り用の塗料」では特徴が異なりますので、しっかりと目的に合った塗料を使うことが大事です。
下塗り用の塗料は塗装面を整えるための塗料で、代表的なものではシーラーとプライマー、フィラーがあります。
【参考記事】
>>下塗り塗料のシーラー・プライマー・フィラーってなに? 上塗り用の塗料 には、安価なものから順に「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」の5つのグレードがあります。
塗料は種類によって耐用年数と価格が大きく異なり、一般的に価格が高いほど耐用年数が長いです。
【参考記事】
外壁塗装をする際の塗り方
外壁塗装には主に2つの塗装方法があり、それが「吹付け工法」と「ローラー工法」です。
これらは特に上塗りの工程で使われる塗り方で、それぞれにメリット・デメリットや仕上がりの特徴があります。
吹付け工法

吹付け工法とは、スプレーガンという専用の機械を使い、塗料を霧状にして壁面に吹き付ける塗装方法です。
手作業で行うローラー工法と比べて作業効率が高く、広い面積を短時間で一気に塗装できるのが大きな特長です。
一方で、吹付けによって塗料が空中に飛散するため、塗料のロスが出やすく、使用する塗料の量はローラー工法より多くなります。
また、風などで塗料が周囲に飛び散る可能性もあるため、足場に飛散防止ネットを設置するなど、近隣への配慮や十分な養生が欠かせません。
デザイン性の高い模様や質感を出せるなど、独特な仕上がりを実現できる点も魅力ですが、場所や環境によっては不向きな場合もあるため、事前に業者と相談のうえで施工方法を選ぶことが大切です。
ローラー工法

ローラー工法とは、専用のローラーを使って手作業で塗装を行う方法です。
塗料を均等に塗り広げることができるため、ムラのない美しい仕上がりを実現しやすいのが大きな特長です。
DIYでも比較的取り入れやすく、基本的には1〜2種類のローラーを使って作業を進めていきます。
ローラー工法は塗料の飛散が少なく、近隣への影響も抑えやすいというメリットがあります。そのため、住宅街や隣家との距離が近い場所でも安心して施工できるのもポイントです。
ただし、広い面積をすべて手作業で塗っていくため、吹付け工法と比べて時間がかかるというデメリットもあります。
効率よりも仕上がりの美しさや丁寧さを重視する現場に適した工法です。
外壁塗装をDIYするメリット

費用が安く抑えられる
外壁塗装を業者に依頼する場合、足場の設置費用やプロ仕様の高性能な塗料代、さらに複数の職人による施工にかかる人件費など、さまざまなコストが含まれます。
それに対して、自分で外壁塗装を行う場合は人件費がかからないため、費用を大幅に抑えることができます。
必要なのは道具や塗料などの材料費のみで済み、コスト面では非常に経済的です。
好きなタイミングで工事ができる
DIYで外壁塗装を行う場合、自分の都合に合わせて自由にスケジュールを組むことができます。
業者に依頼する場合、他の工事との兼ね合いで希望の日程が埋まっていたり、打ち合わせや契約などの手続きに時間がかかったりすることがあり、思ったタイミングで工事が始められないというケースも少なくありません。
一方、DIYであれば業者との調整や打ち合わせが不要なので、自分のペースで作業を進められるだけでなく、手続きの手間もかかりません。
天気の良い休日や連休などを利用して、効率よく施工できるのも大きな利点です。
好みのカラーやデザインにできる
業者に依頼する場合、使用できる塗料やカラーバリエーションがある程度限定されることがあり、希望する仕上がりに制約がかかるケースもあります。
しかし、DIYであれば、塗料の種類・色・仕上げ方に制限がないため、自分の好みに合わせたデザインや配色を自由に楽しむことができます。
たとえば、アクセントカラーを取り入れたり、グラデーションや模様をつけたりといった、個性的な塗り方にも挑戦できます。
「オリジナルで個性あふれる外観にしたい」
「他の家と差をつけたい」
という方にとって、DIYは魅力的な選択肢と言えるでしょう。
業者とのやり取りをしなくてよい
DIYで外壁塗装を行う場合、業者との打ち合わせや連絡といった手続きが一切不要なのも大きなメリットです。
スケジュール調整や見積もり、契約内容の確認など、業者に依頼する際に必要となる一連のやり取りがなく、自分のペースで作業を進められるのは、忙しい方や手間を省きたい方にとっては大きな魅力といえます。
ただし、DIYは自由度が高く気軽に始められる反面、すべてを自分で管理・判断する責任も伴います。
簡単さと安心感、どちらを重視するかをよく考えて選ぶことが大切です。
外壁塗装をDIYするデメリット

時間がかかる
DIYで外壁塗装を行う場合、広い面積をすべて一人で施工する必要があるため、非常に多くの時間と労力がかかるという点は大きなデメリットです。
業者に依頼すれば、複数人の職人が役割分担をして作業にあたるため、工期は通常数日から2~3週間程度で完了します。
しかし、DIYでは下準備から塗装、片付けに至るまでをすべて一人で行わなければならず、1か月以上かかる場合も少なくありません。
また、塗装期間中は飛散防止ネットを張ったり、室外機を移動したりと、生活に制約が出る状態が続きますので、工期が長引くことによる生活への不便さや、体力・時間的な負担が大きくなるというデメリットも理解しておく必要があります。
危険が伴う
外壁塗装のDIYにおいて、高所作業は非常に大きなリスクを伴います。
特に2階部分などの高い場所では、足場を組まずに作業する場合、脚立やはしごを使って作業を行う必要があります。しかし、こうした作業はバランスを崩しやすく、転落事故の危険性が高まります。
たとえ1〜2メートルの高さであっても、転倒すれば頭部を強打したり、骨折・ねんざといった重大なケガにつながることがあります。
さらに、万が一の落下時には、手に持っていた塗料をこぼしてしまい、自分自身だけでなく、建物や周囲にも塗料が飛散してしまうリスクもあります。
その場合、ケガの治療費や塗装面のやり直しなど、余計なコストや手間がかかることになります。
こうしたリスクを避けるために、高所での作業が必要な箇所については、専門の業者に依頼するという方法もあります。
安全性と仕上がりの両方を確保するためにも、無理のない範囲でDIYを行いましょう。
下地処理が徹底されない場合がある

外壁に深いひび割れや大きな損傷がある場合は、塗装だけでなく構造的な補修が必要なケースもあります。
こういった場合、DIYで対応するには限界があり、誤った処理をしてしまうと逆に劣化を早めてしまう可能性もあります。
また、古い塗膜やサビの除去などするケレン作業も、DIYでは難易度が高く十分に行われないことが多いため、結果的に塗装の耐久性が著しく下がることがあります。
下地に不安がある場合や損傷が大きい場合は、無理にDIYで対応せず、信頼できる専門業者に依頼することが安心です。
仕上がりが悪くなりやすく、失敗すると費用が増える
塗り方や下地処理が不十分な場合、表面に凹凸ができたり、見た目が雑になってしまう可能性があります。
さらに、塗料の選定ミス、塗布量の不足などによって、塗装の耐久性や品質に問題が生じかねません。
その結果、塗装がすぐに剥がれたり、色褪せが早まったりするなどの不具合が起こるおそれが出てきます。
また、もし塗装に失敗した場合には、塗料の再購入ややり直しにより、かえって費用がかさんでしまうケースも少なくありません。
最終的に業者へ依頼することになれば、時間もコストも二重にかかることになってしまいます。
外壁塗装のDIYでよくある失敗

色ムラが出る
DIYでは作業を一気に終わらせるのが難しいため、日を空けて塗装すると、同じ塗料を使っていても色ムラや光沢の違いが出てしまうことがあります。
また、人の手での作業はどうしてもムラが出やすく、特に初心者の場合には目立ちやすい傾向にあります。
現在では、ローラーを使った塗装が主流であるため、ある程度ムラは抑えられますが、それでも技術によって仕上がりに差が出ます。
色ムラがあると見た目の美しさを損なうだけでなく、塗料の塗りが不十分な箇所では防水性や耐候性が弱まり、外壁の劣化を早めてしまう原因にもなります。
見た目だけでなく、機能面でも外壁をしっかり保護するためには、塗装の前に丁寧な下地処理を行い、下塗りも適切に施すことが重要です。
DIYで外壁塗装を行う際には、時間と手間をかけて丁寧に進めることが大切です。
足場なしで塗装をおこないケガをする

ひとりで作業する際に「足場を組むのは手間」と感じ、はしごや脚立を使って作業を進める方が多くいます。
しかし、万が一転倒してケガをすれば、塗装の失敗よりもはるかに重大な事態となる恐れがあり非常に危険です。
先ほども述べたとおり、2mの高さでも落ちれば大けがをするリスクがあります。
塗装はやり直せても、身体の怪我は取り返しがつかない場合もあるため、安全対策は絶対に怠らないようにしてください。
足場があることで作業の安全性が確保され、仕上がりの品質にも大きな違いが出ます。
効率よく、かつ安全に作業を進めるためにも、足場は必ず用意したほうがよいでしょう。
外壁塗装をDIYで成功させるポイント

外壁塗装のDIYが成功するかは、見えない準備の質によって決まるといっても過言ではありません。
外壁塗装を失敗させないために、以下の3つのポイントを押さえましょう。
洗浄は念入りに行う
外壁塗装を行う際には、塗装する箇所をしっかりと洗浄し、外壁表面を整える作業が非常に重要です。
汚れやコケ、カビ、ほこりなどが残っていると、塗料の密着性が低下し、仕上がりが悪くなるだけでなく、早期の剥がれや劣化の原因にもなってしまいます。
洗浄を徹底することで、塗料がしっかりと密着し、結果として塗装の耐久性・耐用年数を大きく高めることができます。
養生はしっかりとする
外壁塗装では、「養生を怠らない」ことが非常に重要です。
「注意して塗れば大丈夫」と思うかもしれませんが、実際の作業では思わぬところに塗料が飛んだり垂れたりして、周囲を汚してしまうリスクがあります。
また、養生をしていないと、細かい部分に神経を使いすぎて塗装に集中できず、ムラが出る・塗り忘れるといった失敗にもつながりやすくなります。
外壁塗装を成功させるためにも、養生はしっかりと行いましょう。
高所での作業は安全第一で行う
高所での外壁塗装は、しっかりとした安全対策が不可欠です。
特に2階部分や屋根の塗装を行う際には、足場をしっかり固定し、ヘルメットを着用するなどして安全を最優先に作業しましょう。
安全対策を怠ると、取り返しのつかない事故につながることもあるため、少しでも不安を感じる作業はプロに任せるという判断も大切です。
足場を組まずにDIYで外壁塗装をする方法

足場を組まずに外壁塗装を行うのは、安全性に大きなリスクが伴います。
しかし、足場を使用せずにDIYで塗装する方法や、業者に依頼せず自分で足場を準備する方法も存在します。
長柄ローラーを使って塗装する
高所を塗装したい場合、通常のペイントローラーでは届きません。
そこで、長柄ローラーを使えば、脚立に乗らなくてもある程度の高さまで塗装でき、安全性と作業効率が向上します。
使用する道具としては、大塚刷毛の「アルミスライド継ぎ柄 EX-510」などがあり、これにペイントローラーを取り付けて使います。
塗り方には「横塗り」と「縦塗り」があり、塗装面の位置や形状によって適切に使い分けることが、仕上がりをきれいにするポイントです。
長柄ローラーでは横塗りが難しいケースがあるため、状況に応じて縦塗り用のローラーを使うか、安価なローラーを自作・改造して対応する方法もあります。
はしごを使って塗装する
外壁塗装を足場なしでDIYする場合、まず思い浮かぶのがはしごを使った作業でしょう。
住宅によって外壁の高さは異なりますが、高所作業になるため、塗装には十分な高さと耐久性のある業務用はしごが必要です。
これらは一般的な家庭用はしごよりも価格が高く、1〜2万円程度かかりますが、業者に依頼するよりはるかにコストを抑えられるのが大きなメリットです。
ただし、はしごは安定性に欠けるため、作業時には安全帯の着用や転倒防止の対策が必須です。
万が一バランスを崩してしまえば、自分が怪我をするだけでなく、近隣の建物を傷つけてしまう可能性もあるため、慎重に作業を行う必要があります。
脚立を使って塗装する

壁に立てかけて使うはしごは安定性に欠けるため、外壁塗装をDIYで行う際には、脚立の使用がおすすめです。
脚立は自立式で安定感があり、はしごに比べて安全に作業がしやすいのが特徴です。
価格は2~3万円程度とやや高めですが、それでも業者に依頼するよりは安く抑えることができます。
ただし、足場と比べると安定性や作業効率は劣るため、脚立を使う場合でも安全帯の着用は必須です。
また、作業位置を変えるたびに脚立を移動する手間が発生するため、広範囲を塗装する際には時間と労力がかかります。
無足場工法で塗装する(非推奨)
無足場工法とは、足場を組まずに屋根や屋上からロープを垂らし、ハーネスを装着して作業者が外壁を塗装する方法です。
この工法は、足場を設置できない場所や短期間で作業を終えたい現場で使用されることがあります。
はしごや脚立と違い、移動の手間が少なく作業効率が高いのが特徴ですが、高い安全性と専門技術が求められるため、熟練した職人でも慎重に行う必要があり、一般の方が行うのは非常に危険です。
また、無足場工法には「ロープアクセス」や「ゴンドラ工法」などがあり、専用の道具や設備に費用がかかるため、DIYで行うよりも専門業者に依頼したほうが安全かつ経済的なケースが多いのが実情です。
安全面・費用面を考慮すると、無足場工法は一般の方がDIYで取り入れるには不向きな手法といえます。
間違ったDIYによる補修例
実際にあった間違ったDIYによる補修事例です。
補修箇所に合わないシーリング材を使ってしまった

シーリング材は、住宅のさまざまな箇所で使用されており、水回り(お風呂やキッチン)や窓サッシまわり、外壁のサイディング目地などに欠かせない建材です。
しかし、一見するとどれも似て見えるものの、使用場所に応じて適切な種類を選ばなければ、本来の性能を発揮できないという重要なポイントがあります。
例えば、お風呂場などの高湿度環境では防カビ性や耐水性に優れたシーリング材が必要であり、一方で外壁やサイディング部分には、耐候性や伸縮性に優れたものが求められます。
成分や性質が異なるため、誤った用途で使ってしまうと、ひび割れや劣化、水漏れなどのトラブルを招く原因になります。
箇所別のシーリング材
窯業系サイディングなどの目地 | 変性シリコン系シーリング材 |
換気口や換気扇の排気口や配管周り | 変性シリコン系シーリング材 |
モルタル外壁のクラックや木材補修 | ウレタン系シーリング材 |
お風呂やキッチンなどの水回り | シリコン系シーリング材 |
シーリング材の表面が凸凹やシワシワになり、すぐに剥がれてしまった
シーリング材を充填する際には、周囲に余計なシーリング材が付着しないように専用のマスキングテープなどで「養生」を行うことが基本です。
しかし、この養生テープは適切なタイミングで剥がさなければ、縁が凸凹になったり、表面がシワになるといった不具合が生じてしまいます。
また、シーリング材は一見すると何にでもしっかり接着できそうな印象を持たれるかもしれませんが、実際には下地との相性があり、確実な接着を得るためには「シーラー」や「プライマー」と呼ばれる下処理材の使用が不可欠です。
これらを省略すると剥がれや浮きの原因となり、雨漏りや劣化を招くリスクも高まります。
ひび割れ部分をシリコン系シーリングで埋めてしまった
シリコン系シーリング材は、撥水性や耐久性に優れており、水や油をよく弾くため、キッチンや浴室など水回りの施工に最適な素材です。しかし、水や油だけでなく塗料も弾いてしまうため、外壁塗装で使用する際は注意が必要なのです。
モルタル外壁やブロック塀などの表面を広く塗装する必要がある部分では、シリコン系シーリング材でひび割れの補修をしてしまうと、シーリング材の部分だけが塗料を弾いてしまい、ムラが生じて非常に目立つ仕上がりになってしまいます。
窯業系サイディングの目地のように、塗装との接点が比較的少ない場所であればまだ目立ちにくいこともありますが、ひび割れの補修に安易にシリコン系を使用すると、後々の塗装作業で剥がす必要が出てきてしまうケースが多く、余計な手間や費用がかかる結果になります。
このため、外壁や塀の補修には、上から塗装可能なシーリング材を使うことが重要です。
誤った材料選びは、美観の低下や追加の補修コストを招くリスクがあるため、慎重に選定すること大事です。
塗装を何度繰り返しても、すぐに割れてきたり剥がれてきた

外壁塗装におけるトラブルの多くは、適切な下地処理の不足に起因しています。
汚れを十分に洗い流さないまま塗装を行ったり、洗浄後の乾燥が不十分なまま塗料を塗ってしまうと、塗料の密着性が悪くなり、塗膜の剥がれや割れといった不具合が起きやすくなります。
また、ケレン作業(表面を軽く研磨して塗料の密着を高める処理)をしていなかったり、プライマーやシーラーといった下地強化剤を使っていない場合も、塗装の耐久性に大きく影響します。
さらに、塗る素材に適した塗料を選んでいないことも問題です。
モルタルや塀など水を吸いやすい素材には、透湿性の高い塗料を使わなければ、内部の湿気が逃げられず塗膜が膨らんだり剥がれたりする原因になります。
また、過去に使用されていた塗料と新たに使用する塗料の相性が悪いと、表面がうまく定着せず、仕上がりや耐久性に大きな差が出ます。
塗膜が膨れてきてしまった
透湿性の低い塗料を使用すると、塗膜の下にこもった水分が抜けられず、膨れや剥がれの原因になります。
外壁に使用される建材には、もともと含水率が高いものや、経年劣化によって含水率が高くなってしまうものがあります。
特にモルタルやコンクリート、ブロック塀などは水分を吸収しやすいため、こうした建材に塗装する際には透湿性の高い塗料を選ぶことが重要です。
お庭側が土になっているブロック塀などは地面からの湿気を吸いやすいため、より慎重な塗料選びと施工が求められます。
建材の特性に合った塗料を使用することが、塗装の耐久性と仕上がりの美しさを保つためのポイントです。
DIYと専門業者に依頼、どちらがいい?

外壁塗装は、専門的な知識や正しい作業手順、注意点をしっかりと押さえていれば、DIYでも可能です。
しかし、確実な仕上がりや安全性を重視する場合には、専門業者に依頼することをおすすめします。
最近ではDIYが流行しており、ホームセンターなどで塗料やローラー、刷毛といった塗装用品を手軽に購入できるようになりました。自分のペースで作業を進めたり、家族との思い出づくりとして楽しむなど、DIYの魅力は多くあります。
しかし、バルコニーや家具などのDIYと異なり、外壁や屋根の塗装は建物を守る防水工事という重要な役割も担っているため、単なる「色塗り」以上に慎重な対応が求められます。
塗料の性能を十分に引き出すには、下地処理やひび割れの補修、コーキングの適切な施工など、細かな工程と専門的な知識が必要です。
これらを誤ると、塗膜の剥がれや劣化を早めてしまい、結局やり直しが必要となることもあります。
修正にかかる費用や時間を考慮すると、はじめから専門業者に依頼する方がコストパフォーマンスが良い場合もあるでしょう。
DIYに挑戦する場合でも、慎重に計画を立て、必要な準備や知識を十分に身につけたうえで取り組むことが大切です。
外壁塗装の一部依頼するという方法
外壁塗装の費用を抑えたいと考えてDIYを検討する方も多いですが、工事の一部だけを業者に依頼するという方法も、コストを抑えつつ安心して工事を進める手段のひとつです。
DIYとプロの技術を上手に組み合わせることで、費用を抑えながらも安全かつ確実に外壁塗装を行うことが可能です。自分の技術や知識、作業環境に応じて、柔軟に選択肢を検討することが大切です。
部分補修
一部のヒビやサビ、割れといった限定的な劣化箇所の補修であれば、全面補修ではなく「部分補修」を検討することも賢い選択肢の一つです。
外壁塗装の費用は基本的に「施工単価 × 施工面積」で計算されるため、施工面積が広いほど費用も高額になります。
その点、部分補修であれば施工面積を必要最小限に抑えることができるため、費用も抑えやすくなります。
特に、外壁全体が劣化しているわけではなく、一部のヒビ割れやサビ、欠損などが気になる程度の場合には、部分補修でも十分対応可能なケースがあります。
このように、必要な箇所にだけ的確な補修を施すことで、コストを抑えながらも住宅の保護や見た目の回復が図ることが可能です。
足場だけ設置してもらう
足場は安全性が非常に重要な設備であるため、専門の業者に依頼して正確かつ安全に設置してもらうのが安心です。
足場を購入しても、DIYが趣味でない限りその後使う機会はほとんどなく、コストパフォーマンスが悪くなりがちです。
業者に依頼すれば足場設置の費用はかかりますが、塗装作業を自分で行うことで、全面的に業者に依頼するよりも大幅なコストダウンが期待できます。材料の保管に困るなんてこともありません。
「足場設置だけ業者に依頼+塗装はDIY」とすることで、コストを抑えつつ安全性も確保できます。
ただし、DIYでの塗装作業には技術や知識、安全面への十分な配慮が必要です。
そのため、安全を確保した上で、作業の手順や塗料の選び方などを事前にしっかり学ぶことが大切です。
「できるところはDIY、残りの部分は業者に依頼」はNG

外壁塗装において、「できるところだけDIYで行い、残りの部分を業者に依頼する」という方法は、一見すると費用を抑えられるように思えますが、実際にはおすすめできません。
その理由として、まずDIYで使用した塗料の種類や塗り方、補修方法が業者と異なる場合、業者側がそれに合わせて施工を行うことが難しく、仕上がりにムラが出てしまう可能性があります。
その結果、DIYで行った部分と業者が施工した部分で見た目が揃わず、不自然な印象を与えてしまうことがあります。
さらに、業者はDIYで施工された箇所に対応するために、材料や作業内容を細かく調整しなければならず、その分工数が増えて工事費用が高くなることも少なくありません。
結果として、全面的に業者に依頼した場合よりもコストがかさんでしまうケースも見受けられます。
DIYと業者施工を合わせる場合は、工程ごとに明確に分けて依頼しましょう。
まとめ

外壁塗装を自分で行うには細かな道具を揃え、塗料も準備しなくてはならず、期間もかかります。
外壁塗装をDIYで行うメリットは、費用が安く抑えられ、好みのカラーやデザインにできる点です。
一方、外壁塗装をDIYで行うデメリットは事故のリスクがあることや時間がかかること、下地処理が徹底されないこと、仕上がりが汚くなること、耐久性や品質に問題が出ることです。
用意しなくてはならない道具や工程、かかる期間とメリット、デメリットをよく検討し、自分でDIYすべきか、プロに頼むか検討しましょう。
外壁塗装・屋根塗装工事は浜松市のマルスギにおまかせください

マルスギでは、外壁や屋根のリフォーム・メンテナンスをご検討中の皆さまに向けて、【無料見積り】【無料診断】【無料相談】を常時実施しています。
専門知識を持つ経験豊富なスタッフが、工事内容や費用について丁寧にご案内いたします。
対応エリアは静岡県浜松市を中心としていますが、遠方のお客様からのご依頼にも、可能な限りご訪問対応させていただいております。
外壁塗装や屋根の葺き替え、カバー工法はもちろんのこと、雨樋工事、雨漏り修理、防水工事などのメンテナンス、さらには駐車場・ブロック・お庭・ウッドデッキなどエクステリア工事のご相談も承っております。
マルスギは、地域に根ざした塗装職人ならではの高品質な仕上がりと、無駄を省いたコスト提案で、信頼と満足のサービスをご提供いたします。
お客様との長いお付き合いを大切に、真心こめて対応いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
サイトマップ
- 会社概要
- プライバシーポリシー
- お問い合わせ